近年ますますグローバル化する社会において、国際教育への重要性が高まっています。本記事では、日本において新たな教育の場として注目が集まる「ボーディングスクール」について紹介します。
ボーディングスクールとは
ボーディングスクールとは、「全寮制学校」のことをいいます。「学業・生活一体型のインターナショナルスクール」をイメージするとわかりやすいかもしれません。
日本ではあまり馴染みがありませんが、その歴史は古く、1440年にイギリスの名門「イートン校」が設立されて以降、1880年にはスイスの「ル・ロゼ」が設立されるなど富裕層が通う学校として知られ、国際社会で活躍できる人材の育成を目的として多数の著名人を輩出しています。
日本国内にボーディングスクールはどのくらいあるの?
海外に多く存在しているボーディングスクールですが、現在日本で開校しているボーディングスクールは、10校ほどとなっています。
日本では、1960年に日本初のボーディングスクールとして「ラ・サール函館」が設立されました。その後、2006年にはイギリスの「イートン校」をモデルとし、中部電力やトヨタ自動車など日本の大手企業が出資したことでも知られる「海陽学園」が設立されるなど、日本国内においてもその数は着実に増加しています。
ボーディングスクールに通うメリットを4つ紹介
日本にいながらレベルの高い英語力を身に付けることが可能
ボーディングスクールの特徴として、英語教育に力を入れている学校が多いことが挙げられます。より実践的な英語力を身に着けるために英語を使って議論や討論を交わすなど、「日常的に英語を使う」機会が多く存在します。
自立性・人間力の確立
ボーディングスクールでは、全寮制を導入している学校も多く、そのような場合、親元を離れ寮生として暮らすことになります。毎日規則正しい生活を送り、自分の身の回りの管理から寮内の生活に関わることは、生徒自身が主体となり行動します。そうすることで自立性が育ち、人としての成長、いわゆる「人間力」の成長にも期待することができます。
基礎学力の向上・より高い専門性の習得
ボーディングスクールでは、各教科においてその専門の先生に教わることができます。基礎学力の向上はもちろんですが、より高い専門性を身に付けるためのカリキュラムとして、様々なジャンルの第一線で活躍する専門家を招いて、特別講義を受ける機会を設けている学校もあります。
進路先の多様化
ボーディングスクール卒業後の進路先として、有名大学への進学に加え、海外の大学へ留学する生徒もいます。ボーディングスクールでは、国際教育に力を入れており、海外からの留学生が在籍している場合もあります。多様な国や文化の中で育った人たちと触れ合うことによって、国際的な教養・思考を持つことができるため、卒業後の進路はさまざまです。
ボーディングスクールに通うデメリットを2つ紹介
一般的な学校と比べて学費が高い
ボーディングスクールのデメリットとして、学費が高いことが挙げられます。例えば、世界一学費が高いと言われているスイスの名門ル・ロゼの学費は年間1,500万円ほどといわれています。
一方、日本のボーディングスクールの費用は、学校によって異なりますが、年間でおよそ350万円〜700万円ほどとなっており、高いところで1,000万円近くかかる学校もあります。一般的な私立高校の年間の学費平均がおよそ97万円ほどであることと比較すれば、高額といえます。
日本では学校の選択肢が少ない
先ほども述べた通り、日本におけるボーディングスクールは現在10校ほどとなっており、まだまだ数が限られているのが現状です。したがって、学校選びの際に選択肢が少ないことがデメリットの一つといえます。
日本でボーデイングスクールが増え、注目されている理由
では、上記で挙げたようなデメリットがある中で、昨今日本におけるボーディングスクールの数は増え、注目されている理由はなぜでしょうか?
- 少子化に伴い、子供にかける教育費が上昇していること
- グローバル化する社会において、自分の子供に国際的な教養や感覚を身につけてほしいと考える親が多くなっていること
- 有名大学への進学率が高く、卒業後の進路が多様であること
まとめ
本記事では、ボーディングスクールについて紹介しました。今後ますますグローバル化する社会において、より国際的な思考や感覚を持つことが重要視されています。また、コロナ禍において海外留学などの実現も困難となっている中、日本にいながら国際教育を受けることができる「ボーディングスクール」の需要はますます高まっていくでしょう。